さて、ここまできてようやく創価大学の小野寺君についてです。
小野寺君のポイント毎の区間順位は16位~16位~20位~20位~21位~21位。ラップタイムは15位~21位~21位~20位~20位。いずれを見ても、尻すぼみになってしまったことが分かります。
小野寺君のハーフマラソンのベストタイムは1時間5分40秒。このまま10区の23kmを走ったとすると、1時間11分36秒となります。これは今回の区間タイムに当てはめると15位に相当するタイムですが、実際には1時間13分23秒かかってしまいました。ちなみに、駒沢の石川君のハーフのタイムを換算すると1時間8分48秒ですが、今回は1時間9分12秒ですから、ほぼ実力通りの走りをしたと思われます。
この2人の違いはどこにあるんでしょうか。
小野寺君のハーフベストの1kmあたりの平均は3分06秒75になります。このタイムで最初のポイント蒲田の5.9km地点まで走るとなると18分21秒となりますが、実際には18分04秒での通過でした。つまり、ベストよりやや速いペースで入ったことがうかがわれます。
その他の選手のラップを見てみると、前半の自重が後半のペースアップにつながっていることが分かりますが、小野寺君は逆に速いペースで入ってしまいました。
そこで、最初のラップと最後のラップを比較してみました。表は左から、最初の区間のラップタイムの順位・大学名・最後の区間のラップタイムの順位・最終的な区間順位となっています。
1位 | 神奈川大学 | 8位 | 2位 |
2位 | 駒澤大学 | 3位 | 1位 |
3位 | 中央大学 | 11位 | 5位 |
4位 | 國學院大學 | 8位 | 3位 |
5位 | 日本体育大学 | 21位 | 18位 |
6位 | 明治大学 | 16位 | 11位 |
7位 | 関東学生連合 | 10位 | 6位 |
7位 | 青山学院大学 | 7位 | 4位 |
9位 | 拓殖大学 | 17位 | 14位 |
9位 | 東海大学 | 12位 | 9位 |
11位 | 法政大学 | 18位 | 16位 |
12位 | 東京国際大学 | 13位 | 13位 |
13位 | 国士舘大学 | 15位 | 17位 |
14位 | 専修大学 | 6位 | 15位 |
15位 | 創価大学 | 20位 | 21位 |
15位 | 早稲田大学 | 2位 | 8位 |
17位 | 帝京大学 | 5位 | 12位 |
18位 | 順天堂大学 | 3位 | 7位 |
19位 | 東洋大学 | 1位 | 10位 |
20位 | 山梨学院大学 | 14位 | 19位 |
21位 | 城西大学 | 19位 | 20位 |
こうして見ると、前半を自重した大学がラストのペースアップにつなげていることが分かります。そのまま区間順位につながっているわけではありませんが、シード権などを考えるとタイムより順位が重視される最終10区では、後半に勝負をしなければならないところで余力を残しておく必要があります。
それをしなくてもいいのは、以下の3パターンになると思います。
- 優勝に届くかもしれない
- シード権に届くかもしれない
- 明らかにシード権は無理
この3つにあてはまる場合は、序盤から突っ込んだ走りが要求されるでしょう。今回で言えば、1は駒沢、2は明治・中央・城西、3は10位から4分以上遅れて鶴見を出発した日体・神奈川・拓殖・法政・国士館・山梨・学連・専修といったところです。その他の大学は、序盤は自重してレースの展開に合わせてペースの維持、もしくはペースアップしていくことが必要と考えられます。つまり、小野寺君がもう少し余裕をもってレースに入っていたら結果は異なっていたかもしれません。
もちろん、結果は結果ですからたらればはあまり意味がないのですが。
では、小野寺君のペースの原因はどこにあるのでしょうか。
調べてみたところ、小野寺君の出身高校は埼玉栄高校。スポーツの強い学校としてよく知られており、陸上界では名門中の名門です。その栄高校の出身であれば、プレッシャーなどにも強いのではないかと思ったのですが、さらに調べてみたところ、小野寺君は高校駅伝のエントリーメンバーまでは入ったことがあるのですが、実際に選手としての出走はかなわなかったようです。
また、創価大学は昨年が3年ぶり3回目の参加でしたが、小野寺君は昨年10区の付き添いをしていたとのこと。登録メンバーには入っていませんでした。となると、本格的な全国大会への参加は今回が初めてだったということになりそうです。
初めての全国大会が優勝争い。そして後ろから追ってくるのは名門駒沢の選手。ベストタイムは、10000mでは40秒ほどの差ですが、ハーフマラソンでは2分半の差ですから、10区での適正は自分より相手の方が明らかに力が上です。
こうした条件の中では、気負いによるオーバーペースになってしまっても仕方がなかったのでしょう。
ごめんなさい。
— 小野寺 勇樹 (@yu_kideradera) 2021年1月3日
全部受け止めて来年強くなって戻ってきます。
これからもどうか創価大学の応援よろしくお願いします。
来年は4年生。最後の箱根です。
小野寺君がこの1年、全部受け止めて強くなって、今年の雪辱を果たしてくれることを期待したいと思います。